山の雪
そんなには降らないだろうと思っていたのですが、止む気配は無くいつのまにか山は白く雪化粧となりました。
雪が積もった山はいつもの景色とは違い別の場所のようです。
とても美しくしばし見入ってしまいました。
残念ながら午後からは山の仕事はお休みです。事務所に戻り、窓から見る雪はビルの谷間に降ります。
林業会社なのですから、事務所からも山に降る雪を見ながら仕事をしたいものだと思います。
takata
このブログは「青梅の杜 株式会社多摩農林」の日記です。
takata
沢の 水量も確実に増えてきました。
木洩れ日を浴びて、キラキラと輝く水面を眺めながら、ふと思うことがあります。
今、沢に落とした一枚の木の葉も、運が良ければ、川の流れを辿り、東京湾にその身を浮かべることになるのかもしれない。
川の流れは森が育みます。
そして川は海へ流れを注ぎ、海の水は蒸発して雲になり、森に雨を降らせます。
森、川、海と続く悠久の連環の中で
多くの生き物達が、それぞれの生を
精一杯に生き、そして輝くのです。
そして、その連環の中で、輝く生命達の営みを護る為の仕事をしている、いや、させて頂いている、そのことが、私たちの喜びでもあり、プライドでもあります。
今年の夏もまた、ゲンジボタルは、幻想的な光の演舞を見せてくれるでしょうか。
石神川で寄り添うようにして厳しい冬を越そうとしていたタゴガエル達は、無事に春を迎えることができるのでしょうか。
深い森の中で、遠い、あの大きな青い海原に想いを馳せながら、細く険しい山道を歩く一日もあるのです。
koga
いつもいい加減なおじさんにも律儀なところがある。
山の神様を祭る祠の傍らを通り過ぎる時は、必ず祠の前に立ち、 2拝2拍手1拝の拝礼を行いそれから山に入る。
その日もこの拝礼を行ってから、雨上がり直後の山に分け入った。
やや急な登り口を過ぎなだらかな尾根筋に達した時、ヒノキ林の木漏れ日に地面から立ち昇る水蒸気が浮かび上がり、ゆらゆらと輝く幻想的な文様を作り上げていた。
林内にあやなす光の輪舞を眺め、立ち込めている水蒸気と満ち満ちているフィトンチッドを胸一杯吸い込み、おじさんはこれ以上の幸せは無いという笑顔を見せた。
その刹那、おじさんは道端に生えているモミの木の5年生位の稚樹を一本抜き捨てた。
さらに道から4~5メートル林内に踏み込み、もう少し大きめな稚樹を引き抜こうとした。
手で抜き取ることができないので、左足で苗の中ほどを踏み、緩やかに撓んだところを右足で数回蹴った。苗の根が次第に浮き上がってきたところを、最後は手で抜いて放り捨てた。
その一部始終を見ていたヒノキが、たまらずに声を掛けてきた。
「おじさん、いくらなんでもあんまりだよ。それじゃあモミの木が可哀そうだよ。」
「今はお前さんたちより背が低くて、おとなしいが、20年もしないうちに立場が逆転するよ。そうならないように、小さい苗だから手を打ったんだ、感謝されてこそ非難なんかされたくないね。」
そう言い捨てると、おじさんは尾根道をさらに進んだ。
山道にすでに茶色く変色し始めたモミの葉が
大量に散らばり、その周辺の空気も沈み切って
おじさんは、その辺の長老である境界木のヒノキを見上げるようにして、この理由を聞いた。
「見てごらんよ、あのモミに雷が落ちたんだ。 なんとか持ちこたえそうだったんだけど、結局、だめだったね。 突然、葉を全部振りまいてさ、一巻の終り。」
モミの木に近づいて見上げると、幹の中ほどから上にかけて斜めに樹皮が捲り上がり、鋭く削がれたような傷跡があった。
その傷跡を眺めて雷撃の凄さを想像していると、モミに南側を塞がれていたヒノキが声を上げた。
「こいつが小さかった頃は、おとなしくてさ、近所の付き合いなんぞもへらへらしてやがってね。ところがさ、いつの頃からか急に背がでかくなりやがって。
背がでかくなった途端、態度まででかくしやがって、それからは往生したんだよ、こいつには。」
「確かに憎まれっ子だったけど、急に死なれちゃうとかわいそうでね。」
「悪く言うのも少なくないけど、やっぱり仲間内のことだから悲しむのも居るよね。」
「あたしなんか、一緒に痺れたからね。大雨の夜だったけど、突然目の前が昼間のようになった途端。ビリビリっと来たのよ。そりゃー、凄かったもんね。」
最後に長老が、
「おじさん、当分の間、このモミの子供らを引き抜くのは止めにしないか。・・・・
背の高いおれの身代わりになったとも言えるし、少なくとも、仲間へ哀悼の気持ちを表したい・・・。」g>
おじさん「・・・・・・・・・」
おじさんは、その後もせっせとモミの苗を引き抜いて歩いていました。
ogura
今年もいよいよと花粉の季節がやってきました。
花粉症の方には恐縮ですが、本年もスギの木にはたわわに雄花がついています。
少し赤っぽく見えるのが杉で多量に雄花をつけています。
大きな社会問題となっている花粉症も、輸入材に押されて、
収穫期を迎えたスギの木が伐採されず大量に山に残っているからだとも言われています。
スギの木は40年才ぐらいになるとその子孫を残そうと多量に花粉を飛散させます。
それまでの成長期にはそれほど多くの花粉は生産されないそうです。
もし、日本の林業が正常に機能していれば、花粉を大量に飛散させる年齢の木は
収穫されて若い木に更新されていたはずで、これほどの問題にはならなかったそうです。
山の仕事をしていても花粉症にはなります。
私たちのスタッフにも数人花粉症の人間がいます。
花粉から逃げることもできずそのまっただ中で仕事をしなければならないのですから大変です。
幸いにも私はまだ無事ですが、花粉症の影におびえながら今日も山に向かっています。
杉の雄花です。
まだ青い雄花です。 こちらはかなり熟してきています。
※
takata
※ ナント!!
朝、出社したら、花粉症の私の机の上に、砕いたスギの花粉が置いてありました。
誰が犯人か・・・これで判明しました!(chimo)
1センチくらいの小さな実が赤く熟し、びっしり連なっています。
このまま食べても甘酸っぱく、おいしい木イチゴです。
一カ所で採れる数に限りがあるので、
あちこち分け入って・・・・
こんな感じのジャムができました。
味は・・・うん、おいしい!
ほのかな酸味と野生の香りが口いっぱいに広がります!
ツブツブが口に残りますが、これがまた洗練されていないワイルドベリーっぽくっていい感じです。
これは栽培するよりも、このふゆいちごが自分で適した環境を選んで自生しているのを
探して摘むのが醍醐味ですね。
chimo